コーパス編集部: それでは次のテーマに移りたいと思います。今回は有料相談のファイナンシャルプランナー(FP)や、独立系FPについて伺います。芳川さんは有料相談をされているFPということで、その特徴やメリット・デメリットをお聞きしたいのですが、無料相談のFPと比較してお話いただけますか?
FP芳川さん: はい、やはり有料相談のFPは商品販売を一切行わないという点が大きな特徴です。これは顧客本位で利益相反を起こさないということで、完全にお客様ファーストで対応できる点が大きなメリットです。無料相談を提供している窓口やパートナー企業も多いですが、それらは保険会社や金融機関からのキャッシュバックが主な収入源になっています。そうなると、どうしても高い手数料が得られる商品を優先して提案してしまう傾向があると思います。その点、有料相談は報酬が相談料のみなので、利益相反がないということが大きな違いですね。
コーパス編集部: お客様にしっかり向き合い、傾聴力を活かした提案ができるという点で、有料相談のシステムと芳川さんのスタイルは相性が良いと感じました。もし芳川さんが無料相談のFPとして活動していたら、今とは異なる仕事のスタイルになっていたと思いますか?
FP芳川さん: そうですね、全く違っていたと思います。無料相談であれば、どうしても背後に商品があって、それを売るための提案になってしまいます。お客様の話を聞きながら「この商品をどう提案しようか」と考えてしまう場面も増えるでしょう。そうなると、傾聴よりも「どう売るか」という視点が優先されると思います。また、商品提案が中心になると、お客様のためになるサポートを積極的に行う動機が薄れがちです。その意味で、有料相談でのスタンスが私の仕事には合っていると感じますね。
コーパス編集部: なるほど。次に、「独立系FP」という言葉について一般の方にとっては少し分かりにくいと感じるのですが、どう定義するのがわかりやすいでしょうか?
FP芳川さん: 確かに独立系FPという言葉は曖昧ですね。独立系FPと対比されるのは「企業系FP」ですね。保険会社や金融機関に所属していないFPが独立系とされますが、実際には保険を販売する独立系FPも存在します。ですので、私が定義するなら「金融商品や保険商品を一切販売しないFP」が真の独立系FPだと言えると思います。
コーパス編集部: 有料相談を行うFPの数は、無料相談を提供するFPと比べると非常に少ない印象を受けます。その理由や背景について、どのようにお考えですか?
FP芳川さん: そうですね、全体のFPのうち、有料相談を行っている独立系FPは本当に少ないです。理由はやはり、相談料だけで事業を行うことの難しさにあります。保険商品や金融商品を販売していないと収入の確保が難しく、集客も課題です。また、独立系FPの認知度が低いことも原因の一つです。
コーパス編集部: 確かに、一般のお客様に独立系FPのメリットが伝わりにくい部分もありますね。日本では特にFPという職業自体がまだ発展途上にある印象を受けますが、その点についてどう感じていますか?
FP芳川さん: おっしゃる通りです。例えば、アメリカではFPは弁護士や医者と同等に稼げる憧れの職業とされていますが、日本では金融機関や保険との関わりが強く、FPが「中立的なアドバイザー」として認知されていません。さらに、日本人は「貯蓄文化」が強く、資産運用への関心が低いため、FPの必要性を感じる方が少ないということも影響しています。
コーパス編集部: 今後、有料相談を行うFPは増えていくべきだとお考えですか?
FP芳川さん: はい、増えていくべきだと思います。クライアントファーストで中立的なアドバイスを提供できるFPが増えれば、私としても嬉しいことです。国もNISAの普及を通じて、資産運用立国を目指しているようですので、その流れに乗って中立的なアドバイザーが増えていくことを期待しています。
コーパス編集部: そうですね、制度の後押しも重要ですが、それ以外に業界全体が変わっていくために必要なことは何でしょうか?
FP芳川さん: 国の制度だけでなく、独立系FPが食べていけるノウハウや、適切な顧客対応のスキルを広めることも重要です。FPとしてのキャリアを成功させた先輩方が、実際に食べていけることを示し、業界全体で知識や技術を共有していくことが必要だと思います。
コーパス編集部: 現在、事務所は芳川さんとお母様の2人で運営されているとのことですが、今後、事務所を拡大する計画はありますか?
FP芳川さん: はい、今後は妻も事務所に参加してもらい、バックオフィスを担ってもらう予定です。また、女性のクライアントには女性のFPが相談しやすいというニーズがあるので、妻の力も活かしたいです。さらに、茨城県内でナンバーワンの事務所を目指し、10年以内に5人ほどのスタッフを抱える規模に成長させたいと考えています。お客様を長期的にサポートするためには、事務所の体制をしっかり整え、ビジネスの継続性を確保することが重要だと思っています。
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